COZY ショート ツーリング その3  04.11.28

 パーキングでは田上さんが、やおらボンネットをはずしアクセルワイヤーの調整をしています。「だけん、恥ずかしいけん写さんどいて〜って、いいよるやん!」とご本人は叫んでいますが、一方でにこやか&テキパキと手を動かしています。

なになに、みんな集まってるなあアクセルワイヤのトラブルなんです

 ピット上の観覧席では、本日の受付が始まっています。コース上をジモティのレーシングカートがかっとんでいます。これから始まるイベントに備え、ちょっとでも参考にしようと目を皿のようにしてラインを覚えます。

耐久に出るんだったねレーシングカートががんがん走り込んでいます

 本日のメインは30名ほどの参加者を8つに分けて行うカートの耐久レースです。あらかじめスタッフによってチーム分けがなされていました。

わがチームの精鋭3人。左から阪井さん、工藤さん、山下さん

 顔合わせをしてみてびっくり、私が走るC組は4人とも体重が○○kg以上のダントツ最重量チームです。排気量わずか50ccのカートにおいて、このハンディキャップは大問題です。とりわけ私というへっぽこ(加えてカート初体験)がチームの足を引っ張るのが明白な以上、恒元社長のお茶目なイタズラ心を感じずにはいられません!唯一の救いは我がチームにレースでバカッ速の工藤さんがいらっしゃることですが、逆に迷惑をかけまくりそうで心配です。「な〜に、カートといっても50ccのおもちゃみたいなもんだから、何の心配もいらないって。女の子でも子どもでもすぐ乗れるってシロモノよ。」という甘い言葉を素直に信じた私がアホでした。「気楽にレースに出るなんて言わずにおとなしく見ていればよかった。」と大後悔モードに突入してしまいました。

始まりましたタイムアタック

 私の憂鬱をよそに、タイムアタックが始まりました。この予選の結果でスターティング・グリッドが決まるというので真剣にならざるを得ません。しかし、与えられた自分の時間は、何がなんだかわからないままくるくるスピンしている間に終わりました。このままではヤバイです。

 マシンから降りてすぐ、工藤さんに質問です。「4コーナーからの立ち上がりで、アクセルを開けてもなかなかスピードが乗らないんですがどうすればいいんでしょう?」すると、「うん、コーナーに入るときにもっと立ち上がり重視のラインをとっていいと思うよ。コーナーに入った時には全開くらいで丁度いい。」とアドバイスをいただきました。さらに横にいた阪井さんが、「僕もカートやってたから言うんだけど、カートってデフがないからアウト側の後輪にしっかりトラクションかけた方がいいんだよ。ついコーナーのイン側に体を倒しそうになるけど、逆に外に体重をかけるんだ。立ち上がりのときは、リア側に荷重をかける意識を忘れずに。」と貴重なヒントをくださいました。山下さんも「7コーナーのアプローチとれたらストレートエンドまではずっと全開ですよ。」と。そうそう、COZYのスタッフである山下さんはレース経験豊富なことを、この時思い出しました。ああ〜やっぱり私がミソッカスだあ〜(>_<)

みんな速そうにみえるんですよ、これが

 すっかりしょげていると、天の声がしました。「最後の組がアタックするけど、何台かシートが余ってるよ。乗りたい人いない?」工藤さんはすかさず、「おっ、他にいないんなら練習させてもらおうか。ボクもまだまだだからなあ。」とヘルメットを手に取りました。でもまだ、マシンが余っています。「チャンス!」とばかりに私も一台確保しました。さっそく教わったことを練習してみます。おかげで少しずつ雰囲気がつかめてきました。走行の終わり近くには立ち上がりでアクセルによりラインを変えることもちょっとずつできるようになってきました。ヒロガリユクキボウノイロ!?

けっこうみんな盛り上がってます

 タイムアタックが終わり、グリッドが発表されるのを待ちます。その間、「8番のマシンはよくないね。ストレートの途中で全く吹けなくなる。」「そうそう、上まで回んないだよね。8番は。」という声を耳にしました。こりゃ本番では8番のマシンだけは避けなければいけません。

 「え〜と、グリッドを発表しま〜す。皆さん集まってくださ〜い。」長倉さんの手にはタイムアタックの順位表が握られています。気になる私の順位はというと・・・あった、あった。真ん中よりもちょっと上。おひょひょわりと悪くないじゃん(^_^)b 工藤さんはというとカート初めてという割には貫禄の3番手。1番時計は2位に2秒以上の差をつけて主催者の恒元社長です。「経験ある上に、子ども一人分ボクより体重が軽いんだから当然だよね〜。」と工藤さんが淡々とコメントをつけてくださいました。

 肝心のグリッドはというと「え〜とC組は8番目、最後尾スタートです。」と無情な宣告が。「それでなくても重量ハンディがあるのになんでだ〜!俺タチみんなコーナーの立ち上がりが明らかに他のマシンより遅いじゃんか〜!」と抗議するも受け入れられません。しかも8番といえばあのカメマシンではないですか。かくなる上はドサクサに紛れて問題のないマシンをせしめてしまわねばなりません。なんだかんだと画策して、車番4番のマシンをゲットすることに成功しました。(我ながらセコイ)あと打てる手といえば、工藤さんにトップスタートをお願いし最後尾からじゃんじゃん抜いてもらうことだけです。ドンケツスタートチームの願いを一身に背負って工藤さんがマシンにのりこみました。

それいけ〜!けちらせ〜!にこやかに笑ってる場合ですか!?

 作戦はひとまず成功です。工藤さんは最後尾から怒濤の追上げをみせ、一時は2位を走ります。他のマシンのスピンに巻き込まれ順位を少し下げましたが、交代時には4位につけてくださいました。

いや〜軽い軽い。ま、こんなもんでしょう。

 ピットには恒元社長が早くも戻ってきました。余裕で勝てると踏んだのかマシンを次のメンバーに譲りにやにやしています(^^;;工藤さんがコースに出ている間に、残り3人の出走順をジャンケンで決めることになりました。ジャンケン弱い私はアンカー役をいただいてしまいました。「ほとんど乗せてくれなくてもいいですからね。」とお願いをしておきましたが、どうなることやら。

激走中の阪井さん

 私に教えてくださった通りの乗り方で二番手の阪井さんがホームストレッチを駆け抜けて行きます。三番手の山下さんが走っているときには、自分の「心の準備」に忙しく写真を撮るどころではなかったので画像がありません。(ごめんなさい>山下さん)

マシンのシートが今にもバキッといいそうで・・・止まっているようにみえるけど、本人は必死です

 残り8分というところで、山下さんがピットに戻ってきました。1周50秒ちょっとというこのコースでどこまでやれるかわかりませんが、全力を尽くす覚悟です。ご覧になっている皆さんにはバカバカしいでしょうが本人はいたって真剣です(^^;;

テール・トゥ・ノーズの大接戦(のつもり)

 コースに飛び出すと、あちこちにマシンが散っていてどのチームがトップなのか皆目見当がつきません。通常ならば電光掲示板に逐一順位が出るそうですが、今年のむちゃくちゃな台風でまだ壊れたまんまなのだとか。とにかくスピンしないことを心がけ走ります。あわよくば1台だけでも追い越したいなどと不遜なこともちらっと脳裏をかすめますが。

電光掲示板が壊れているため状況がわからないままゴール

 最後は周回遅れっぽい2台を辛くもかわしてチェッカーフラッグの下を通過しました。なんとか順位を下げなかったようで、とりあえずホッとしました。はてさて、期待はしてませんが結果の方はどうなったんでしょう。

それでは結果を発表しま〜す

 長倉さんの号令で、表彰台の前に各チームとも整列します。ちゃんとシャンパンファイトも用意されていると聞き、「一度でいいからやってみたいんですよね〜。」と身の程知らずな希望を述べる私です。チームの面々と「一時は4位くらいを走ってたから、入賞のチャンスはないこともないかも。」「でも2回ほど回っちゃった(スピンした)からなあ。」「ああ、そうだったなあ。惜しかったなあ。」と慰め合います。

3位チーム2位チーム

 3位、2位と順番に呼ばれ、表彰台の所に並びます。コールされるたびに、まさか3位、いやひょっとしたら2位などという甘い期待がガラガラと音をたてて崩れていきます。「2位ですか。ま、こんなもんでしょう。主催者が1位をとらなくて正解ということで。」と恒元社長が余裕しゃくしゃくのコメントを出しています。

 「では、1位を発表します。1位は車番4番のチームですっ!」

「ええっ!?まさかっ!???」思わぬ発表に耳を疑います。

 「ウソだ!最後尾スタートだぞ!」「ありえん、最重量チームやねえか!」「なんかのマチガイだろう!」「許せん、陰謀だ!」驚きと罵声が会場を飛び交います。でもウソじゃないもんね〜。ほらほら、これが証拠写真でいっ!

う、うれしい

 「表彰台に立つなんて、俺たちゃ慣れてるけど小者のおまえには滅多にない経験だろう。」と、チームの面々が私を表彰台にあげてくれました。なんだかよくわからないけど、いい気分です。シャンパンファイトも見よう見まねでやってみました。「へたくそ!」というお叱りは当然飛んできましたけど(^^;;

お、ザガートですか。取り替えてほしいなあ。マクラーレンですか

 賞品として額に入ったイラストをいただきました。私の所へ回ってきたのはcar MAGAZINE vol.129('89-10)の表紙になったマクラーレンM8、工藤さんが持つのはSCRAMBLE CAR MAGAZINE vol.60('85-03)の表紙になったアストン・マーティンDB4ザガートです(もちろんイラストはBOWさん)。かっちょええなあ。いいものをありがとうございました。

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